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北海道羅臼町 『羅臼に山々にかかる霧』 H12.8

山で滑落(かつらく)して怪我をした
足は曲がらず、両腕で体重を支え、5時間かけて下山した
その時、自分は生きていると実感するとともに
山は生きていると実感した
それからは、山に入る度に『入らせてもらいます』と無意識に頭を下げている自分がいる
山は生きている・・・その個性はさまざまだ


 退院して一週間後(H12.7.10 に山で滑落して怪我をした。詳しくは日誌をご覧ください)から徐々に立って歩くようになる。弱った筋肉を取り戻すため少しづつ筋トレを始める。そしてリハビリを兼ねて海や川まで行って竹で作った竿で魚を釣っては、晩ご飯にして食べた。

あまり動けない間はずっと水墨画を描いた。入院する当日の朝、一枚のデッサンを書き上げていて、それをもとに水墨画を何回も描き続けた。
そしてやっと一枚納得のいくものが出来た。これを描いているとき、自分は霧そのものになりきっていた。
それにしても水墨画の紙は繊細で、少しでも風が吹くと絵は失敗してしまう。
実際いつもテントの中で描いていた。旅をしながら外で水墨画を描くのは難しいなと思い始めていた。