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秋田県鹿角市紫明亭展望台 『十和田湖の夕方』 H14,6,17

雲が空に溶け込んでいるのか?
空が雲に溶け込んでいるのか?
水に空が溶け込んでいるのか?
空に水が溶け込んでいるのか?
空に浮かぶ雲ひとつとってみても、その奥は深い


6月17日 雲りときどき雨、のち晴れ 弱風 パン。カップヌードル。シーチキンシチュースパ。

 夜、不審な音で目が覚める。ガサッガサッと森の中をこちらに近づいてくる。音を出してこちらの存在を知らせようとハーモニカを吹くが音は止まない。そこでラジオのボリュームを上げ、森の方向へ向けたらやっと音は止んだ。
そしてゆっくり遠ざかって行った。
実際熊かどうかはわからない。他の草食動物かもしれないが、それならハーモニカの音に驚いて逃げてもいいはずだし・・・、とにかく久々に忘れていた熊の恐怖を思い出した。ここは東北だと実感した。

秋田県は民家に熊が入り、冷蔵庫の物を食べたりするぐらいだ。こんな場所(民家などまったくない山の中)に出てきてもおかしくない。そんな状態だったので朝3時になったときは嬉しかった。
急いで起き、コーヒーを作ってから道具を持っていつでも絵が描ける状態で外で待っていた。明け方も熊が活動する時間帯なのでラジオはそばに置いておいた。

雲が多いせいであまりよくなかったが、一枚だけ描く。朝食を食べてから寝不足ぎみだったので少し寝た。
起きてから昨夜の絵の手直しをした以外は新潟までの道のりを地図にマークしたくらいで他には何もしていない。

雨は小雨が降ったり止んだりしていたが、昼の1時過ぎくらいにまとまった雨が降った。もう水もないしこのまま止まなかったら・・・と一瞬頭をよぎったが、2時過ぎには青空も所々見え出してきた。そして天気はそのあと晴れた。

テントを畳み3時前にすぐ近くの紫明亭展望台へ向かった。3キロと離れてはいないのですぐに着く。
ここからの眺めは横長に湖が見える。いろいろ構図を考えながら時間を過ごし、5時前に展望台の下にテントを張って食事にする。
そのあと6時過ぎから7時半過ぎまで絵を描く。かなり複雑な表現で時間がかかった。以前ならとても絵にできそうもないレベルだが、だからといって絵としていいとは限らない。
描き終わったときはもう暗く、絵がよく見えなかった。明日見ればどの程度の絵かわかる。

描き終わったあと急に腹が下ってきたのでトイレに行く。空は雲がなくなり、三日月と星が輝いていた。日没後のあの自分の好きな色に遠くの山並みの上が彩られていて綺麗だった。
コーヒーを入れ、音楽を聴きながら眺めた。町の明かりも綺麗だったが明日の朝も早いので9時に寝た。