自転車による日本一周の気まぐれ日誌

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平成14年4月8日から14日まで (沖縄から名古屋までフェリーに乗り、愛知県を南下途中)

8日 弱風 曇りのち晴れ パン。焼きうどん。コンビーフスパ。
 テントなどを乾かしながらパッキングを済ませ、10時過ぎに出発。内海を目指して走ったが、小野浦という海岸が雰囲気がよく、人も少なくテントが張れそうだったのでここで昼にしたあと、夕方までぼーと海を眺めた。5時頃にテントを張り、絵を約2カ月ぶりに描く。どれがどんな色だったかわからなくなっていた。当然絵はさんざんだった。
 9日 中風 曇り パン。うどん。ゴンビーフスパ。
 今日は一日肌寒かった。同じ所にいて聖書を読んでいた。ヨハネの黙示は面白い。ハルマゲドン、666、竜と神の戦いとか、その他もろもろの不吉な言葉はここに起因することを知った。今日も絵は描いていない。
 10日 中風 曇り パン。焼きうどん。カレースパ。
 出発の9時頃は少し晴れていたが、だんだん曇ってきて寒くなった。羽豆岬で昼にしたあと鳶ケ崎へ向かう。2時頃に着き、夕方まで適当に時間をつぶした後テントを張る。今日も雲が覆っていて色は灰色一色だった。今日で5日目だが、これでは何のためこんなことをしているのかわからない。旅そのものも面白くない。早く先に進みたい。
 11日 弱風 雲りときどき晴れのち雨 パン。うどん。シチュースパ。
 朝8時前に出発して半田市のジャスコに10時前に着く。ジャスコで買い物をしている間に工具を入れた小さいバックが盗まれた。この旅で初めて盗難にあった。しかも愛知県で。どうもこの県とは相性が良くない。海底トンネルを走り碧南市に抜け、国道247を走る。目的地の吉良温泉近くの海岸に着いたのは3時頃で雨が降りだすまでぶらぶらしていた。夜遅くから雨が降るという予報だったのに4時頃から降りだしたので、ごみ置き場の近くに急いでテントを張った。今日も絵は描いていない。とにかく最悪だ、早く静岡県、山梨、長野県へと行きたい。
 12日 強風 雲りのち晴れ パン。焼きそば。
 今日は風が強かったが天気は9時頃からよかった。今日は一日同じ所にいて、洗濯や洗髪、絵を一枚描いたり、今後のルート計画を練って過ごす。計画を練るのに疲れた頃におっちゃんに話しかけられて5時過ぎまで話をする。見た目は少し怪しそうだったがいろんな場所に行ったことがあるらしくやたら詳しいし、芸術の理解も深かった。絵の話をしていたら止まらなくなったけど、5時を過ぎた頃に絵を描く準備をすると言ったら、おっちゃんはおっちゃんで釣りをしに行った。その後絵の準備をしていると、海上にものすごい数の白い鳥が飛んでいて、奇麗な曲線を描いていた。その鳥たちは視界から消えることはなく、何度か旋回した後海の上に降り立った。急いで絵を描いたがあの鳥が太陽の光にあたりながらきらきら輝いているようすは表現できなかった。その後もう一枚描く。愛知県に入ってからT週間目にしてやっとまともな夕暮れが見れた。感のほうは大分戻ってきた。夜る8時ごろさっきのおっちゃんが来て家に泊まっていけと言ってくれたが絵を描かないといけないからと断った。でも風呂と食事をしに家まで行った。斎藤さんという人だが実に親切にしてくれた。1カ月前にも学生のチャリダーを泊めてあげたそうだ。11時頃にテントに戻って寝た。
13日 雲りのち晴れ パン。焼きそば。シュウマイ、アワセそばの油味噌かけ。
 今日久しぶりに朝焼けを見た。一枚絵を描いた後準備をして8時頃出発。国道247号に出て、蒲郡で23号に代わる。車が多くあまり走りやすくなかった。豊川で有料の橋を渡り総合スポーツ公園へ行く。そこは建物ばかりであまり良い公園ではなかったが、昼をそこで取る。それからまた国道23号で国道259号にぶつかるまで南に走る。途中道がわかり辛かった。259は道幅が狭い上に車が多く、やはり走りにくかった。田原町に1時半頃着いて、買い物をしたあと白谷海岸へ向かう。ここの海岸は雰囲気がよく、人も少なかったので落ち着いた。ここで夕方絵を一枚描いたあとテントを張る。夕焼けは雲が邪魔をしてほとんど表れなかった。今日は誕生日だったからドーナツを買って食べた。
 14日 中風 晴れ パン。中華そば。カレースパ。
 朝は薄雲に覆われていて、朝焼けはなかった。食事のあとテントを畳んで昼までくつろぐ。ここはほんとに気持ちの良い公園だ。とくに東の山からパラグライダーが飛んで降りてくるさまは見ていて飽きない。フランスで見たあれだ。機会があればいつかやってみたい。昼を食べたあと出発し、2時前には目的の立馬崎灯台に着く。ものすごく小さな灯台だったが、そこからの眺めや雰囲気は悪くなかった。4時過ぎ頃にその近くにテントを張り、夕方絵を描く。

 

平成13年9月1日から4日まで (山口県から島根県に入り、海沿いを東へ向かう途中)

9月1日 晴れ パン。味噌そーめん。鯖缶スパ
 今日から9月だ。朝は大分寒くなった。東の山のうえから朝日が登るのを見てから食事をして、荷造りをしてから展望台で絵を一枚描く。去年東北にいた頃は山の上からの朝日にも感動して夢中で絵を描いていたのに、最近感動が少ないような気がする。
9時半頃出発10時半ごろに道の駅阿武町に着く。そこで温泉に入る。300円と安く、シャンプーも石けんもあった。久しぶりで本当に気持ち良かった。それから東屋で昼にする。さて出発しようと思い、その前に道の駅の地図をもらいに行ったら、その地図にここにある鹿島の夕日の写真があり、それが良かったので急きょ今日はここで夕日の絵を描くことにした。だから夕方まで買い物をしたり、明日の朝食を作ったりして過ごし、夕日の絵を二枚描いてからテントを張って食事にして早めに寝た。今日あまり走らなかった分明日走らなければならないから。

2日 晴れのち曇り チャパ。そーめん。カレー、チャパ
 久しぶりに朝早く目が覚める。東の空にうろこ雲があり、それが赤く染まっていた。その絵は描かなかった。代わりに昨日二枚目に描いた絵を描き直してみたがうまく行かなかった。
今日は久しぶりに50キロ以上走るので急いで荷物をまとめ8時半に出発した。順調に走り、景色を楽しみながら走るためちょくちょく休憩をとりながら走った。今日の道のり、国道191号線にはやたらにトンネルがあり、合計10ものトンネルを通った。一番長いのが1、5キロもあり、かなり精神的に疲れた。
昼は田万川の湾の近くの小さな公園で取った。道の駅には寄らずにそのまま益田に向かう。三里ケ浜のところでふれあい広場というのがあり、ちょっと水でも補給しようと思って立ち寄ってみたらテントを張るのに最適な場所だったので少し考えた末ここにテント張ることにした。ここだと夕日も朝日も見れる。まだ2時半だったが40キロ走ったし、坂道やトンネルも多かったし、急ぐ旅でもないと自分を納得させ、4時過ぎまでラジオを聴きながらのんびりと過ごした。
今夜は雨が降るし、風がやけにきついので早めにテントを張って食事を作り始めた。のんびり食事を作っていたら6時10分くらいになっていた。ちらっと西の空を見ると今日は雲が多いせいでもう赤く染まっていた。急いで道具をもって浜辺に行き、絵を描く。夕焼けはどんどん良くなり、今までで一番強烈なオレンジ色を放っていた。そのオレンジは表現できなかったが良いのが一枚描けた。日が沈んでからも色はどんどん変わり、うれしい悲鳴をあげたくなるほどのすばらしい光景だった。二枚目の絵は残念ながらうまく行かなかった。近いうちに描き直そう。描き終わってから作ったカレーを暖め直して食べた。一度冷ましてから暖めるとどうしてあんなに美味しいのだろう。実に旨かった。今日から島根県に入ったわけだが初日から良い感じだ。

3日 雨のち晴れ チャパ。そーめん。チキンサンドチャパ。
 朝5時頃目が覚めたが雨が降っていた。雨は9時頃まで降ったり止んだりしていた。予報では昼頃まで雨だったので、今日は一日ここにいるつもりだったが雨が止んだ後の日差しが強く、出発する気になった。昼を食べてから12時半に益田市に向かう。食料を買い足してから万葉公園に行ってみる。公園は広く、面白そうだったがあまりにもいろんなものを詰め込み過ぎている感じがする。ゆっくり眺めている時間もなかったのですぐにそこを後にする。三隅町の田浦海岸に着くまでにいくつかの海岸を見ながらアップダウンの道を走る。5時半に田浦海岸に着き夕日を描くが、雲が多くあまり良くなかった。
益田市のスーパーで福岡から探していたスケッチブックをやっと買うことができ、張り切っていたが・・・。ここにはトイレもあるから水も心配なく、テントを張ってから食事を作って食べた。今日はチキンの腿が65円で売っていたからそれを焼いていつもと違うものを作って食べた。自転車で旅をしていればおそらく何を食べても旨いのだろう。それだけ各栄養素を身体が欲しがっている証拠だ。風はたいしてないのに波が激しい。日本海に来たと感じさせる。

4日 晴れ パン。こんぶだしそーめん。お好み焼き
 朝の四時、満月の明かりで目が覚めた。雲もなく、綺麗な満月が出ていたのでコーヒーを入れ、音楽を聴きながら久しぶりにゆっくりと月を眺めた。音楽はマイルスにしようか、ライクーダーにしようか迷ったが、他のブルースにした。満月には力強いブルースも似合うことを発見した。
朝方はかなり冷え込み、16度だった。朝露でテントやその他のものは濡れて、乾かして出発できたのは8時半だった。道の駅はまでで昼食を取るつもりだったが、道の駅は自動車専用道路沿いにあり行けなかった。市内に行けば公園はあるだろうと思っていたが市内にはなく、あっても水や木陰がなかったので、でかい運動公園に行った。トイレや日陰のあるグランドで食事を作っていると、隣の小学校から子どもたちがボールをもってぞくぞくやって来た。不振者と間違われると困るのですぐに移動して木陰の下で食べる。それから石見海浜公園に向かうが、公園は国道から下のほうにあるし、ゲートがありそうだったので最初の入り口はパスしてアクアスという水族館の前の海浜に立ち寄る。ここのアプローチはおしゃれでトンネルをくぐると海、という演出でトンネルには柱場の照明がある。夜は人がたくさん来そうだったが水もあるし、景色も良かったのでここにテントを張ることにした。
5時前に早めにテントを張ったが人はほとんど来なかった。夕焼けはまた水平線上の雲であまり良くなく、絵もいまいちだった。それよりショックだったのが水墨画用の筆「長流」を無くしたことだ。恐らくどこかで忘れてきたのだろう。そのショックで絵を描いた後も落ち込み、食事をした後コーヒーを飲んでからすぐに寝た。今すぐに筆を買う余裕はないし、でもあの筆でないとできない表現のアイデアもあって、これから徐々にためそうと思っていたし、何より気に入っていた。長流は一本一本手作りだから同じものはない。いままで無くしたものの中で一番ショックが大きかった。


平成14年7月4日から7日まで (梅雨の最中、岩手県の内陸を南下中)

 4日 雲りのち晴れ 弱風 パン。ひやむぎ。豆腐味噌汁すいとん。
 久々に太陽が顔を出した。が、かなり暑かった。午前中に洗濯をし、午後は町の図書館で資料集めに行く。そのあと買い物をして、キャンプ場に戻ったのは6時半だった。今日は夕日が山に沈むのがはっきり見えた。岩手山も雲の上から上部が見えていたが、絵は描かなかった。構図を決めるのが難しく、あまり良い構図が見つけられなかったから。

 5日 雲りときどき晴れ 弱風 ぱん。お好み焼き。チャパ、さんま味付け缶。
 朝洗濯をしたあと昼ご飯の準備をして、図書館に行く。10時から5時半までずっと図書館で過ごした。それでも全然時間が足らなかった。
 6日 雨 弱風 パン。焼きうどん。すいとんカレー。
 今日は一日中雨だった。何もしなかった日だったが、昼間チョコを溶かして小麦粉に混ぜたりして、凝ったお菓子を作った。でも凝ってる割りにはあまり美味しくなかった。薄く焼いたチャパにチョコを挟んだだけのシンプルなほうが美味しい。きのうも少しのんだが、赤ワインを買ってきたのでゴンチチのラジオを聞きながら飲んだ。300円の一番安いワインだったが、久しぶりだったので胃に染み込むように入っていき、身体全体で味わえた。美味かった。

 7日 雲り一時晴れ 弱風 パン。うどん。味付けフレークお好み焼き。
 今日のお好み焼きは美味かった。少なめの水と小麦粉をこねた生地を十分寝かせ、焼く前に卵と残りの水を混ぜて焼いた。これが山芋を入れたような弾力が生まれて美味かった。また、味付けフレークもお好みにあった。それを奇麗な夕焼けを見ながら食べた。夕焼けは日が沈んでからが奇麗で、雲が多かったのがかえってよかった。一昨日晴れた日より綺麗だったし、岩手山もはっきり見えた。でもやはり絵は描かなかった。というより構図をしぼり込めずに描けなかった。昨日も見たが夜、ここ戸塚森森林公園から見える夜景は、明かりがちらほらと星のように見える。その手前を線路が一直線に通っていて、列車が通るとその明かりが闇に浮かび上がる。その様がまるで宇宙の中を列車が通っているように見えた。そう見えたとき、宮沢健治はこの様子を見てあの銀河鉄道を思いついたんじゃないだろうかと思った。これがもっと都会だと、明かりが多すぎてとてもそうは思えないし、現に今までそう感じたことは一度もなかった。それとここのように見事な一直線の線路はあまりないだろうし、あっても今度は逆に田舎すぎて明かりが全くないかだろう。今日は七夕だが、空は薄雲があって星は見えそうで見えない。


平成13年5月27日から31日まで (沖縄から鹿児島までフェリーで渡り、九州を西側から北上中)

27日 (熊本県)晴れ パン。そうめんチャンプルー。皿うどん
 朝一枚絵を描く。今日は靄もなくてくっきりと山が見えた。昨日よりいいものが、自分らしい絵が描けた。それでもまだ不満は残る。もう一回描きたいがいつまでもここに居るわけにはいかないので、9時に出発した。国道57をあっという間に下って道の駅に着く。少し休憩してから菊陽町のスーパーに行き買い物をする。57号から少し北にある田園の中の道に移り、カントリーパークを目指す。公園には11時半過ぎに着く。
 中は有料だったので外で昼を作って食べる。1時過ぎにそこを出発して県道や小さな道を通りながら国道208を通って田原坂公園へ向かうが、途中道に迷う。また、道は平坦ではなく、公園に着いたのは2時半ごろだった。3時前までそこに居て、次は丸山キャンプ場に向かった。しかしキャンプ場は見つからず、その先の赤田公園へ向かう。この公園もすぐには見つからず、5時手前にやっと着いた。それに国道208は歩道はがたがたで、路肩はほとんどなく、車が渋滞するとこっちまで前に進めなくなった。
 予想以上に時間がかかったためと、疲労が出た為に今日は夕日を描きに行くのを止める。そこでぼうっとした後食事を作って食べ、テントを張り、夜寝るまでくつろぐ。その公園は池に面していて、雰囲気はすごく良かった。夜ラジオで70年台の曲特集をやっていて、懐かしいいい曲を久しぶりにたくさん聴いた。

28日 晴れのち曇り パン。パン、ヨーグルト。ミートスパ
 9時過ぎまでのんびりとした後、ゆっくりと有明海岸沿いに向かう。ちょうど潮が満ちていて、泥のようなものが延々と続いていた。お世辞にも奇麗とは言えなかった。
 海岸線沿いをずっと南に向かって走ったが、水のあるところがなく、神社で昼を食べた。そこで少しうたた寝をした後また海岸線に戻り、公民館の横のゲートボール場らしきところにある木陰のベンチで横になる。横になりながらふと見ると、壊れた市バスが置いてあったのでそれを描く。それからテントを張る場所に行き、時間が経つのを待つ。
 5時半ごろに食事の準備をしていたら、雲行きが怪しくなってきたので、先にテントを張った。それからご飯を作って食べた。
食べている最中に38年ぶりにこっち(熊本)に返ってきたという人と話をする。その人はその後水とインスタントラーメンとちくわを持ってきてくれた。夕日はあきらめていたが、コーヒーを飲んでいる頃に、雲の向こうに赤い姿を見せたので、急いで絵を描くが間に合わなかった。今日で熊本とはお別れだ。ここでは実にたくさんの人が話しかけてきた。次は実質長崎県になる。

29日 晴れ パン。ラーメン。アワセカレー
 朝も雲仙は見えなかった。7時半に出発。順調に国道208を北上し、国道209に入る。久留米市10キロ手前に10時ごろつき、買い物などをして久留米市の百年公園に着いたのは11時半を過ぎていた。昼をそこで食べ、図書館で時間をつぶす。夕食もまた公園で食べ、龍君(沖縄の離島で出会った医大生)に電話をする。
 7時半に待ち合わせをして合う。マンションの10階まで荷物を運び、久しぶりにシャワーを浴びる。レコードがたくさんあったのでそれらを聴きながら12時過ぎまで話をして寝る。

30日
 晴れ なし。ラーメン。具沢山味噌汁。
 10時ぐらいまでのんびり過ごし、その後時計を買いに出かける。前から欲しかったカシオのプロトレックを買う。久しぶりに高い買い物をする。昼は龍君にラーメンをおごってもらった。大龍という店のとんこつラーメンだったが、うまかった。3時半ごろに龍君のマンションを離れ、筑後川の下流に沿ってゆっくり走る。川の絵を描きたかったが結局描かなかった。食事をする場所に着くのが遅かったし、その場所では景色があまり良くなかったから。今夜はやたら蒸し暑く、買ったばかりの時計で温度を見ても30度近かった。

31日 曇りときどき晴れ パン。パン。小麦カレー
 8時前に出発。県道20を西に向かって、国道207に入る。207号線沿いにあったジャスコで昼にして、1時半ごろに塩田町の公園に着く。公園からの眺めはあまり良くなかったので道の駅鹿島を目指す。途中佑徳稲荷へ寄る。ここはやたらに大きかった。道の駅は有明海の眺めがすごくよかった。が、夕方は雲が発生し狙ったところがあまり良くなく、気がつくと違うところが良くて急いで移動して描き始めたが、遅かった。もう一日欲しいと思った。夜はラジオから流れるジャズを聴きながら、龍君にもらったビールを飲んだ。

2月17日

平成13年 曇り 朝」ホットケーキ 昼」豚キムチそば 夜」チューリップハムのビーフシチュー、ご飯
  (沖縄本島南を時計と逆周りで移動中)

 今日は何処にも行かないと決めていたので一日中ゆっくりしていた。それでも時間はあっという間にすぎた。
今日したことといえばカラーコピー(自分の絵)したものに場所を書いたのと、旅の途中で出会った人の住所をモバイル(小さいパソコン)に打ち込んだことぐらいだ。天気が良ければ海の色を描くつもりだったが空は雲に覆われ、海の色は冴えなかったから描かなかった。
 昼寝をしている途中、地元の小学生、女の子三人がやってきていろいろ話をしていたら、似顔絵を描いてくれというので一枚描いてあげた。
夕方砂浜で夕飯を食べていたら、ライダーが二人やってきてテントを張った。その後テントの中で横になっていたら昨日会った地元のおっちゃんがやってきて、酒を飲みにいかんかと誘われ出かける。小さな店で自分の絵を見せると、自分の絵を気に入ってくれた。「画家よりうまい」と言われた。沖縄そばとビールを飲んでから、泡盛を買って海岸に戻り、ライダー二人を含めて4人で飲む。その前に風呂に入らしてもらった。沖縄そばを始めて食べたが、あまり美味しいとは思わなかった。

平成14年   沖縄の離島小浜島にある製糖工場でバイト中


1月10日

平成13年  曇りのち晴れ (九州を南下中・・・大分県内)

  昨日の夜は風も止み、久しぶりにテントの外で珈琲を飲む。ライクーダーを聞きながら・・・。
今日の朝は風の強い中、苦労しながらテントを畳む。10時前にやっと出発できた。半島の南側に出るまで相変わらず風はきつかった。それが南側に出た途端穏やかになり、和やかな雰囲気に一変した。それでもときどき強い風が忘れた頃に吹いた。海のそばに立っている校舎の横で食事をしてから出発。少しの峠を二つ越え、長いトンネルを抜けるとリアス式海岸の複雑な湾が表れた。その湾に沿って目的の元猿海岸へ向かう。天気は昼前から快晴になり、終始穏やかな風景の中を走った。海岸は予想異常によくて、砂は黒いけどきめの細かい良い感触の浜だった。そして何より人や車が少ないのがよかった。すぐに浜にテントを張って、さあ絵でも描こうと思って周りを見てみると、波打際が近く、テントの周りも所々濡れている。今が満潮ならいいけど、そうでなければ水の中ということになる。人に聞きたくて待っていたけど誰も来ない。日も暮れかかってきたからすぐにテントを近くにあった海の家の横に移動した。
張り終わった頃、その海の家に人が帰ってきた。しばらくして話しかけられ、食事がまだなら一緒に食べに行こうとその海の家の持ち主の家へ行った。そこで鍋を食べさしてもらい、死ぬほど肉を食べた。しかし食い過ぎてそのあと腹の調子がおかしくなった。海の家に戻ってから今度は獲れたての黒鯛の刺身、イカの肝と大根のみそ汁などが出てきた。鯛は取れたてでぷりぷりしていたが、鍋を食べすぎたせいで二切れが限界だった。もったいないことをした。
ここに居た佐々木さんという人は自分のように自転車で旅をしている途中お金が無くなり、今漁の仕事をしているという人だった。約一カ月前からここに居るそうだ。しかもこの海の家の持ち主の厚意で夏まで無料で住まわしてもらっているという。それだけではない、夕飯はいつもそこで食べさしてもらい、風呂も入っているという。しかもそこの家では、毎日すき焼きや鍋といった豪勢なものを食べているという。嘘のような本当の話だ。佐々木さんは夏になればどこか一軒家を借りて、ずっとここに住みつくそうだ。旅の末に自分の住む場所が決まったという自分が求めているパターンを実現した人だ。何がきっかけで何処に住むことになるかは誰にも分からない。夜は寝袋を持って中で寝さしてもらった。

平成14年 晴れのち雲り 中風 パン。うどん。ミートスパ。

  朝、夜明け前から絵を描いたていたら、途中から凍りだして面白い模様になった。
もう少し描き始めるのが遅かったらもっと面白い色の混ざり方をしただろう。それを描いたあとすぐに空が良い感じになり、もう一枚どのように描こうか思案しているうちに太陽が昇り始めた。しかもそれはだるまの形に見えた、だるま朝日だった。急いで描き始めたが、まったく間に合わなかった。太陽がだるまの形をしている間、なぜか太陽を凝視できた。今日は朝から二つも面白い経験をした。その後もここ安和海岸からの景色はすごくよく、後ろ髪を引かれながら9時過ぎに出発した。そういえば海上には大陸側から水蒸気のようなものが立ち上っていた。
 今日は標高300の峠を越えた。三重県以来の標高だったが、勾配が比較的緩やかだったおかげでそれほど苦しくなかった。それよりも昼を食べた窪川町からの南側が小さくアップダウンをいつまでも繰り返し、やたら疲れを感じた。12時頃窪川町に着き、四万十川の横で昼を食べた。しかしここの四万十川は土手などコンクリートに覆われていてあまりよくなかった。国道56でさらに南に下り、佐賀町の塩屋の浜という海岸に3時に着く。あまり景色がよくなかったけど疲れていたし、空は昼過ぎから雲に覆われていたのでどうせ絵は描かないだろうと思い、ここにテントを張る。今日の夜はやけになま暖かい。明日の最低気温は10度を越えるらしい。ここ数日の最高気温より高い。明日はあの氷つく絵は描けない。今度機会があればコントロールしてもっと面白い絵を描いてみせるんだけどなぁー。